一般社団法人半導体産業人協会


SSIS第3回「多摩会」(講演会・懇親会)報告

昨年9月の第2回に続いて、今回も講演会と懇親会の2部構成で以下のように実施しました。

1.日時

2015年3月4日(水) 15:00~19:30

2.場所

八王子スクエアビル内(八王子駅前)

  1. 講演会‐八王子学園都市センター
    〒192-0083 八王子市旭町9番1号
    Tel: 042-646-5611
  2. 懇親会‐スカイラウンジ・クレア
    〒192-0083 八王子市旭町9番1号
    Tel: 042-643-2333

3.講演会

  1. テーマ‐「放射線被ばくと突然変異、発がん(DNA損傷の修復と細胞周期)」
  2. 講師‐松本信二氏
    松本氏は東京大学大学院において原子核の研究で博士号を取得、その後放射線医学研究所で放射線生物学や基礎医学の研究で成果を上げられ、カナダ原研生物医学部などで招聘教授などを務められた世界的な研究者として知られています。

4.講演会状況

講演会(15:00~17:00)では、松本信二氏のご厚意により貴重なお話を拝聴する機会を持つことができました。

講演内容は、以下の7項目について順序立てたお話でした。

  1. Si半導体検出器中の陽子線による損傷とα粒子による生成荷電のトラップ
  2. Si半導体検出器をターゲットとした光核反応
  3. 放射線の単位
  4. 危険度推定
  5. 人体への影響
  6. DNA修復
  7. 細胞周期進行停止による効率的修復と発がんの防止
  8. 重粒子線によるがん治療

始めの2項目はやや堅苦しく感じた方も多かったようですが、3項目以降は放射線の人体、就中DNAに与える影響など、生命維持のメカニズムや健康問題にかかわる身につまされるお話で、活発な質疑応答が行われました。

放射線の照射線量は、物質の吸収するエネルギーの量を物差として考えられており、人体への影響を考えるときは、シーベルト(Sv)を単位として用いる。人体への放射線の影響は、放射線の種類やエネルギーなど様々な要素で決まる。1シーベルトは空気1kg当たり1ジュールの吸収線量に生物学的効果比を乗じた線量である。自然放射線のレベルは1.1 ミリシーベルト/年であり、内訳は太陽からの宇宙線が0.38、大地からが0.38、食物からが0.24ミリシーベルト、他にコンクリート壁からなどである。ちなみに、飛行機旅行は東京‐ニューヨーク往復で0.19ミリシーベルト/1回、胃の集団検診では0.6ミリシーベルト/1回、X線CTは30ミリシーベルト/1回である。

我々の体は壊れやすく37℃の熱でも細胞が壊れるが、毎日直し、治し、回復させて保たせている。放射線の人体に対する影響としてDNAの損傷がある。DNAの2重螺旋のうち1本の切断ならば傷は殆ど修復されるが、2本とも切断されると修理ミスが起こることが多く、変異につながる。

放射線障害リスクの評価として、基本的にはDNAの傷が治されればよく、自然放射能の年間1mSb程度ならば損傷は修復されるが、医療被曝は国民全体の平均が2mSvで自然放射能の2倍であり且つ瞬間的であることで影響が出やすく、要注意とのことでありました。

5.懇親会状況

懇親会(17:30~19:30)では、講師の松本様にもご参加いただき、牧本前理事長の音頭によるビールで乾杯。その後各自それぞれ酒、焼酎、ワインなど好きなものを飲みながら、自己紹介や近況報告、健康問題等いろいろな話題で盛り上がりました。会費は4500円(懇親会参加者、飲食代)でした。

6.参加者

従来は多摩会内部にのみ参加をよびかけてきましたが、今回は関東全域の会員にも参加を呼び掛けました。会場の都合で当初予定の期日を変更せざるを得ず、多摩会からの参加者は前回より少なくなりましたが、松本信二氏の興味深い講演内容も相俟って、他の地域から牧本前理事長など9名の参加があり盛会でした。

出席者は(順不同、敬称略)、周藤仁吉、日下浩次、村田 純、金原和夫、栗原岩雄、田中喜男、高橋令幸、田辺 功、溝上裕夫、川那部隆夫、川本佳史、高畑幸一郎、牧本次生、内田康臣、野澤滋為、森脇 健、鈴木孝徳、内山雅博、島 亨、日高義朝、中尾誠男の計21名でした(アンダーラインは講演会のみの参加者)。

次回は8月下旬から9月にかけて行う予定です。幹事は、当分高橋が継承して指名によるサブ幹事を毎年(or毎回)おくことになっており、川本佳史さんに次回副幹事を引き受けていただきました。次回も大勢の参加を期して興味深い会合とするべく、多摩会幹事、文化活動委員会等で企画を練っていきます。


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